最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)1201 決定
主 文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中一八〇日を本刑に通算する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
被告本人の上告趣意について。
原審が是認した第一審判決の事実認定は同判決挙示の証拠を綜合すればこれを肯
認するに難くないのである。所論は事実審の裁量に属する事実認定を非難するに過
ぎないものであり刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。
弁護人小林音八の上告趣意第一点について。
論旨引用の判例は数個の独立した犯罪事実を認定した場合に関するものである。
しかるに原判決は一個の窃盗を認定した第一審判決の事実認定を是認したものであ
るから右判例は本件に適切ではない。しかも記録によれば原審において控訴趣意と
して主張されたところは、単なる事実誤認及び量刑不当の主張であり、所論のよう
な事項、すなわち証拠の標目を示めすに当つては、証拠と事実との関連性乃至証拠
標目の区分までもこれを明らかにすることを要するというが如き主張のなされた形
跡は認められない。従つて原審もかかる点については何等の判断を与えてはいない
のである。されば論旨は刑訴四〇五条三号所定の理由に該当しないのみならず控訴
審で主張しなかつた第一審判決の瑕疵を新らたに上告理由とするものたる点におい
てもまた採用に値しないのである。
同第二点について。
所論は事実の誤認、または単なる訴訟法違反を主張するものであり刑訴四〇五条
所定の上告適法の理由に該当しない。そして本件では同四一一条を適用すべきもの
とは認められない。
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よつて刑訴四一四条三八六条一項三号刑訴一八一条刑法二一条により主文のとお
り決定する。
この決定は裁判官全員の一致した意見である。
昭和二六年六月一四日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 岩 松 三 郎
裁判官 澤 田 竹 治 郎
裁判官 眞 野 毅
裁判官 齋 藤 悠 輔
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